今回はCPAPの代わりとして期待されているポジショニングデバイスについてお話しします。
CPAPを使っている方はすでにご存じかと思いますが、閉塞性睡眠無呼吸症候群(OSAS)の場合は横に寝ることでAHI値(無呼吸低呼吸指数)が下がることが指摘されています。
この事実を踏まえてアメリカでポジショニングデバイスに関する研究が行われました。
ポジショニングデバイスとは、仰向けで寝ている人を横向きに寝るようにする装置のことです。
よく横に寝る枕などが発売されていますが、これらの商品ではどうしても寝返りを防止できず、無呼吸症候群は改善できないことが報告されています。
それではポジショニングデバイスの効果についてお話しします。
引用文献:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2883034/
ポジショニングデバイスの研究者
テンプル大学医学部 イレーネ医学博士
ウィッサム医学博士
ジョン博士
ギルバート医師
サムウェル医師
メリーランド大学医学部 モントセラト医学博士
アビントン記念病院 ジョセフ医師
ポジショニングデバイスの効果
AHIの変化
まずはAHI(無呼吸低呼吸指数)の変化について記述します。
平均AHIが11あった人は、CPAPを使うとAHI=0になりました。またポジショニングデバイスを使うとAHI=2まで下がっています。
ポジショニングデバイスを使うだけでほとんどの人のAHIが正常に向かうことが分かります。
総睡眠時間の変化
次に総睡眠時間の変化について記述します。
【総睡眠時間】
装置なし:338分
CPAP:334分(-1.2%)
ポジショニングデバイス:319分(-5.7%)
ポジショニングデバイスが若干時間が少なっています。専門家の意見としてはそんなに差異は見られていないとのことです。
自発的覚醒回数の変化
次に自発的覚醒回数、睡眠中に起きた回数の変化について記述します。
【自発的覚醒回数】
装置なし:22回
CPAP:12回(-46%)
ポジショニングデバイス:16回(-28%)
CPAPのほうが優秀ですが、ポジショニングデバイスも負けてはいません。
患者の声
テストを行った患者にどちらの装置が良いか、アンケートを行いました。
ポジショニングデバイスを好む:50%
CPAP治療を好む:34%
どちらも好まない:16%
多くの患者がポジショニングデバイスを選ぶ結果となりました。
まとめ
閉塞性無呼吸症候群の患者にとって、ポジショニングデバイスはCPAP治療法と同等であるとこの論文では結論付けています。
ポジショニングデバイスは睡眠の質、夜間の酸素量の観点からCPAP治療法に似ている。
ポジショニングデバイスを使うことで横向きに寝ることを保持できる効果が確認できました。
この3つが論文で結論付けられています。
CPAPは薬事法上、月一回の医療機関への受診が義務付けられており、費用負担が甚大です。
保険適用:60,000円/年(AHI20以上)
保険適用外:180,000円/年(AHI20未満)
この費用はCPAPのレンタル費用です。つまり閉塞性無呼吸症候群である限り、この費用を負担し続けなければなりません。
またメンテナンスが大変だったり、マスクやフィルターなどランニングコストがかかるのが難点です。
閉塞性無呼吸症候群への新しい方法として、ポジショニングデバイスの活用が期待されています。